有明海全体が貧酸素状態になっています
有明海漁民・市民ネットワークで作成された、7月14日現在の諫早湾の貧酸素の状況です。諫早湾湾口北部のB4地点はすでに7月9日前後から貧酸素が発生していましたが、今日は諫早湾内のメインの6つの調査地点全てで、溶存酸素飽和度40%以下の値が観測されました。
この状況について、研究者の堤裕昭先生(熊本県立大学学長)は、「諫早湾では潮受け堤防締切りの後、潮流最強流の速度が約1/4に減少しています。さらに、梅雨期で大量の河川水が流入することにより、海水表層の塩分が減少して軽くなり、塩分成層が発生しています。海水が水平方向にも、鉛直方向にも混ざり合うのが難しくなる季節です。しかも、赤潮が頻発することにより、その枯死したことによって生じた粒子状有機物の多くが海底に堆積し、水温が23〜24℃くらいに上昇すると、バクテリアによる分解が活発化して、海底付近の海水に含まれる溶存酸素の消費量が増加していきます。今、まさにそのような状況が発生しています。潮流速を以前のようなレベルに回復しないかぎり、この現象は毎年、この時期になると発生します。」とコメントされています。